「…の場合は」を英語に訳す場合に、たまに in case of とか in the case of、in case that などの文言が使われることがあります。
この使い方は全くの間違いというわけではありませんが、全く正しいというわけでもありません。というのも、ニュアンスが異なる場合があるからです。
試しに手元の辞書を調べてみると、in case of について以下のような意味が書いてあります。
ただし、この説明は決して十分ではありません。
というのも、in case of … には、「万が一」というニュアンスが含まれているのです。
in case of … がよく使われるのは、例えば「火事」などの非常事態が起こる場合です。特に、注意書きや警告などでよく見かけます。
火事の際には、このボタンを押してください。
普通の文章においては、「…の場合は」に対応する訳語として、if, when, for などが考えられます。
If you buy two, you will get another one free.
筐体が小さい場合には、アーム210を取り外します。
For a small housing, remove the arm 210.
in case of と in the case of の違い
上に述べたように、in case には「万が一」のニュアンスが伴います。それでは、in case に the を加えた in the case of はどういう意味でしょうか。
in the case of も「…の場合は」と訳せることがありますが、通常はそこに「万が一」のニュアンスはありません。
in the case of は「…については」とか「…に関しては」というように個別の物事について言及する場合に使われるのです。
去年は、全国で多くの人が仕事を失った。この都市に関して言えば、約1,000人の人が仕事を失った。
in case of と in the case of、見かけは似ていますが、両者の間には若干のニュアンスの違いがあります。どちらも「…の場合は」と訳せることがありますが、微妙なニュアンスの違いを考慮に入れるようにしましょう。
また、「…の場合は」を英語に訳す場合も、in case of, in the case of, if, when, for 等から、よりその場面に適したものを選択するように心がけるとよいと思います。