stay gold の意味と使い方 「Stay gold, Ponyboy」

stay gold という表現がある。

gold がご存じの通り「金」であることから、「輝き続けろ」と訳されることが多い。

今回は、この stay gold の本来の意味について解説しよう。

stay gold の意味

結論から言えば、stay gold の本来の意味は、「誠実にいる」とか「正直である」、「純粋でいる」といったものだ。

また、相手に対して “Stay gold!” いう場合は、「自分らしくしてね」とか「他人に惑わされず自分を持って」といった感じで使われる。

それほど一般に用いられる表現ではなく、フォーマルな英語ではない。

この場合、gold は「誠実」「純粋」という意味合いで使われることになる。それはおそらく、そういった性質が gold(金)のように貴重で美しいものだ、という認識があるからではないかと思う。

stay gold を「輝き続ける」と訳すことについて

stay gold が「輝き続ける」と訳されることがある原因は、gold(金)から「輝く」が連想されるからではないだろうか。

「輝き続ける」と「純粋でいる」とでは、一見すると少し意味合いが異なるようにも感じられる。ただ、根っこの部分での意味合いとしては、それほど変わらない。どちらも、「自分の持っているものを大事にする」という基本的な感覚があるからだ。

そして、「輝き続ける」と訳したとしても、あながち間違いではない場面もある。文脈や、その表現が使われる背景によっては、そのように解釈することも可能だ。

そのあたりの解釈については、各々の判断に委ねられるだろう。

stay gold の起源は Robert Frost の詩

stay gold は、アメリカの詩人Robert Frost(ロバート・フロスト)の詩「Nothing Gold Can Stay」から来ている。

その詩を紹介しよう。

Nothing Gold Can Stay – Robert Frost

Nature’s first green is gold,
Her hardest hue to hold.
Her early leaf’s a flower;
But only so an hour.
Then leaf subsides to leaf.
So Eden sank to grief,
So dawn goes down to day.
Nothing gold can stay.

ロバート・フロストの詩については、対訳の詩集が日本で発売されている。

対訳 フロスト詩集

この詩集は、「対訳」と冠されていることからも分かるように、左ページに英語、右ページに日本語という構成となっているので、英語の勉強にも有用だろうと思う。この詩集に限らず、岩波文庫の対訳シリーズは結構おすすめである。

stay gold が使われた映画

“Stay gold, Ponyboy” という表現は、映画『The Outsiders(邦題:『アウトサイダー』)』(原作:S. E. Hinton(S.E.ヒントン)の同名の小説)がベースとなっている。

この映画は日本ではあまり有名ではないかもしれないけれど、海外では人気があった。私にとっても、ティーネイジャーの時に(昔の映画として)見た映画であることから、少し思い入れがある。

The Outsiders は、実は若い時のトム・クルーズが出ていたりと、話題性もある映画だったりする。そして、そのことで、周りの女友達が騒いでいた記憶もおぼろげながら、ある。

映画自体は、ビデオを借りて、その女友達も含めみんなで見たのだが、そのビデオを見たときがちょうどトム・クルーズの人気絶頂の頃だった。いや、むしろトム・クルーズが好きだったから、その映画を見ようという話になったのかもしれない。好きな俳優が昔出演していた作品というのは、ファンにとってやはり気になるのだろう。

さて、The Outsiders は、いわゆる青春映画と呼ばれるもので、原作者が女性であることから、男同士の友情に過大な幻想が盛り込まれていると批判されることもある。

とはいえ、過去の作品で男性が作ったものには、女性についてかなり男性側の希望や幻想が盛り込まれているものが多いので、さもありなん、である。人間、異性のことに関しては、色々と妄想を働かせてしまうものなんだろう。そして、それを求めている観客もいるのである。

この The Outsiders の劇中、Ponyboyが上に述べたロバート・フロストの詩を暗唱したのだが、後に病院でJohnnyがPonyboyに対して「Stay gold, Ponyboy, stay gold」と言い残して死んでしまうシーンがある。

そこから、stay gold, Ponyboy や、 stay gold が一般に広まったのだろうと考えられる。また、映画で流れるStevie Wonder(スティービー・ワンダー)の曲のタイトルも Stay Gold である。

この stay gold という表現は、当時のアメリカ人にとって、とても心情に訴えかけるものだったのだろうと推察できる。

私が大好きな映画『LIFE!/ライフ(原題:The Secret Life of Walter Mitty)』という映画でも、Stay gold, Ponyboy という表現が使われているシーンがある。暇な方は、探してみてほしい。