move in on … という慣用表現がある。
意味は、「…に近づく」という風に記載されている辞書が多いと思う。
では、どういうニュアンスで使われるのか、見ていこう。
move in on … の意味
move in on … は、簡単に言えば「…に近づく」という意味だ。
move in on … の後に続く目的語には、人であったり場所であったりする。
例えば、move in on a person だと、「人に近づく」という意味になる。
ただ、move in on … を使う場合は、単に「近づく」という意味合いでは使わず、「何かしらの目的をもって近づく」というニュアンスがある。
その目的というのは、例えば対象を支配しようとしたり、攻撃・制圧しようとしたり、利用しようとしたりすることを指す。
ということで、その意味するところは、たいていの場合、その対象者にとって望ましいとは思われない行為である。
move in on … の使用例
それでは、move in on … が使われる例を見てみよう。
Police moved in on the demonstrators.
警察は、デモ隊を制圧した。
この例では、「攻撃する」とか「制圧する」というニュアンスで使われる。
その他、「利用する」というニュアンスで使われる例も見てみよう。
アメリカの人気ドラマ Suits のワンシーンである。
このドラマは、敏腕弁護士の Harvey と、その部下である Mike のコンビの活躍を描く法律ドラマだ。日本でも織田裕二主演で放送されたのでご存知の方も多いだろう。
このドラマで、Harvey が同僚の Louis に対して怒鳴り込むシーンがある。そこで、Harvey は、以下のセリフを語る。
Harvey: I’m telling you right now, you’re trying to move in on him?
ハービー:はっきり言うぞ、お前は彼を利用しようとしているだろう?
ここでいう「彼」とは、Harvey の部下の Mike のことである。彼は、自分の部下の Mike を利用しようとした Louis に対して怒りをぶつけている。
Louis が、Harvey に何も断らずに、Mike に近づいて利用し、クライアントを獲得しようとしていた経緯があるからだ。
この例のように、move in on … は、「自分の利益になるように(もしくは利用するため)対象に近づく」、という意味合いで使われることもある。