the number of … と a number of … という表現があります。
これらは、とても似ていますよね。違いといったら、冠詞が the か a なのか、というくらいでしかありません。
ですが、the number of … と a number of … との間には大きな違いがあります。使い分けで間違えると、意図しない解釈を生む可能性があります。
英文を正しく理解し、また間違った内容を伝えないためにも、それぞれの意味や、両者の違いを理解して、正しい使い分けを覚えておきましょう。
なお、number of と amount of の違いや使い分けについては、下記の記事で説明しておりますので、よろしければどうぞ。
⇒「number of と amount of の意味・使い方と違い・使い分け 知っておきたい「数」と「量」の表現について」
the number of は「…の数」という意味
英語ので「…の数」という表現を使いたいとき、様々な表現が考えられます。
最も基本的な表現は the number of … を使うものでしょう。
例えば、以下の例を見てください。
「この部屋にいる人の数は30人だ。」
これを英語に訳す際、the number of … を使えば簡単にできます。
この部屋にいる人の数は30人だ。
どうでしょう。簡単ですよね。
しかし、この例文の場合、the number of … の代わりに a number of … を使ってしまうと、おかしくなります。
× A number of people in this room is thirty.
まあ、意味は通じるかもしれませんが、表現としては正しくありません。
「…の数」という表現にしたい場合は、the number of … と定冠詞 the を使うようにしましょう。
number を使わずに表現する方法
ちょっと脇道に逸れてしまいますが、「この部屋にいる人の数は30人だ。」という内容を the number of … を使わずに表現することもできます。
この部屋には30人の人がいます。
こちらの表現を使っても、伝える内容自体は変わりません。
で、the number of … を使った場合との違いは何なのか、というと、情報の伝え方ですね。
最初の the number of … を使った文章が、より数値に注目する文章であるのに対し、こちらのほうは事実を淡々と述べた感じになります。
このように、the number of … を使うことにより、より「…の数」に注目した表現ができることを覚えておきましょう。
a number of … は「いくらかの」や「多数の」という意味
a number of … は、辞書的に言えば「いくらかの」とか「少しの」とか「多数の」という意味です。
そこに具体的な数は示されないので、複数あるのであれば、全て a number of … に含まれます。
ちょっと難しい言い方をすれば、不定冠詞 a が使われるので、そこに明確な数は認識できないわけです。
このように、a number of … は、「いくらかの」とか「少しの」とか「多数の」という意味で使われますが、私の経験上、a number of … という表現が使われると、「多数の」という意味合いである場合が多かったように思います。
ただ、もし「多数の」という意味を強調したい、もしくは明確に示したい場合は、a large number of … という風に形容詞を入れるとよいでしょう。
それでは、a number of … の使い方のバリエーションを見ていきましょう。
多数の車
非常に多数の子供
a relatively large number of techniques
比較的多数の技術
かなり多数のミス
どうでしょうか。形容詞を入れることにより、様々なパターンの表現が可能になるのが分かりましたか。
「少数の…」で使う a number of …
上の例では、「多数の」という意味でつかう a number of … の表現を見てきましたが、実は「少数の」とい意味で a number of … を使うことも可能です。
例えば、a small number of … とすれば、「少数の」という意味になるのです。
少数の本
このように、a number of … を使うと、「…の数」という意味ではなく、「いくつかの」、「多数の」といった意味になることを覚えておきましょう。
また、large や small などの形容詞を使うことにより、表現にバリエーションをつけることも可能となるということも覚えておきましょう。
a number of … と the number of … の後は単数形?複数形?
さて、以上のように、a number of … と the number of … の違いを見てきましたが、これらの表現によって使う名詞は単数扱いなのでしょうか。それとも複数扱いなのでしょうか。
これは、a number of … と the number of … とで異なっていて、正解は以下のようになります。
the number of … 単数扱い
例文を見てみましょう。
日本では、多数の人が米を食べる。
ここでは、a large number of people が複数として扱われているのが分かりますね。ですから、eat は eats にならないのです。
日本の人の数(人口)は減ってきている。
この場合、the number of people は単数形として扱われています。だから、is が動詞として使われているわけです(複数形であるなら are)。
なぜ people が複数形として扱われる名詞なのに、the number of people となると単数として扱われるのでしょう。
それは、「…の数」という意味の the number of … が単数形だからです(つまり、people 自体は複数形ですが、それは the number of … に付随する要素でしかない)。
the number of … と a number of …は、表記的には定冠詞か不定冠詞かの違いでしかありませんが、意味的にはかなり異なるということが理解できたでしょうか。
こういう違いを理解しておくことは、特に技術系の英語を使う際に必要となるので、きちんと押さえておきたいところですね。
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