cannot と can not、どっちが正しい?違いを説明できますか?

皆さん、助動詞の can の意味は分かりますよね。基本的に「…できる」といった意味合いで使われます。

この助動詞 can、学校教育では比較的早く学びますので、馴染みのある単語ではないでしょうか。使用頻度が高い助動詞ですので、いくつか用法はありますが、それほど理解しにくいものではないと思います。

しかしながら、can の否定形はどうでしょう?

can の否定形として、cannot と can not(can と not の間にスペース)が知られていますが、どちらが正しいのか分かりますか?

「cannnot と書くべき」ネイティブから指摘

cannot と can not、どちらが正しいのでしょうか。

かくいう私も、昔海外で暮らしていたときに、少し混乱した覚えがあります。

日本で住んでいたころ、中学生時代の英語の授業で、確か can の否定形は can not が普通で、時々 cannot と書くこともある、という風に学んだという記憶がありました。

もちろん、私が間違って記憶していた可能性も否めませんし、現在学校でどのように教えられているのかも知りません。

しばらくして、私は海外で暮らすようになり、現地の学校に行くことになりました。そして、当初は can の否定形として can not と書いていたはずです。

ところが、そんな中、ネイティブの人にこう指摘されたのです。

「can の否定としては can not ではなく cannot を使うべきだ」

そう指摘したのは、当時、親が私のために雇ってくれていた、英語ネイティブの家庭教師でした。

ここで少し混乱が生じました。

確か、日本の英語の授業では、can の否定形は can not と2語で書くべきだと教わったはずだけど…。

果たして、cannot と can not、どちらが正しいのでしょうか。

cannot と can not、実は両方正しい?

人間は初めて習った方を信じやすい傾向にあるらしく、私は最初、なかなか日本で初めて学んだことを訂正できずにいました。せっかくネイティブの先生が指摘してくれたのに、今思えばもったいないことです。

新しい知識を盲信することは良くありませんが、間違いを指摘されてそれを検証しないことは頑迷な姿勢です。

結論から言えば、can の否定形として、cannot と can not は両方正しいのです。

ただ、can と not をスペースを入れずに続けて書く cannot がより好ましいのです。

can not と2語に分けて書いても、全くの間違いではありませんが、can not では、後述するように、違う意味に捉えられる可能性があるのです。

例えば、以下の文章を見てみましょう。

「その映画を見に行ってはいけないよ。」

これの文章を(1)「cannot」と(2)「can not」とそれぞれ使って英語に素直に訳すと、以下のようになるでしょう。

(1) You cannot go to see the movie.

(2) You can not go to see the movie.

さて、上記(1)の文章では、日本語の文章の意味のみに理解されます。つまり、「映画を見に行ってはいけない」という意味にしか捉えられません。

しかし、(2)の文章では、「その映画を見に行かない、ということも可能だよ(その映画を見に行かなくてもいいよ)」という意味に受け取ることもできるのです。つまり、you can(君は~できる)と not go to see the movie(映画を見に行かないこと)とで分離されてしまうのです。

(1)の文章が「可能性の否定」のみであるのに対し、(2)の文章は「可能性の否定」と「選択肢の提示」と両方の解釈ができるのです。

以上のような誤解を防ぎ、曖昧さを回避するためにも、can の否定形は cannot を使うことをお勧めします。

ただし、not の部分を強調する場合は、can not の方が cannot よりも適していると思います。

No, you can NOT go to see the movie until you have done your homework.
だめ。宿題を終えるまで、映画を見に行ったら(絶対)だめだ。